2月 072010
 

桂小五郎から聞いた「松蔭先生」の名前を覚えていた龍馬は、ぜひ会わせてくれと桂に頼み込む。
その頃、吉田松蔭は黒船への密航を企てていた。
文でその事を知った桂は龍馬を連れて松蔭を止めに走る。
二人は松蔭を見つけるが、松蔭は小舟を繰り出して黒船に向かう所であった。
必死で止める桂と龍馬に、松蔭は、なぜ止めるのだと聞く。
「この海の向こうに何があるか知りとうはないか?」
「桂くん、君は海の向こうに行きたいと言っていたな。
では、なぜ何もしないのだ。
何もせんでおる事より、何千倍、何万倍も良いんじゃ。」
「僕には言い訳はない
どんな運命が待ってようが後悔はせん。」
その言葉を聞いた龍馬は、今度は一緒に連れて行ってほしい、と、松蔭に縋り付いた。
「わしも先生のような生き方がしてみたいがです!」
龍馬を殴る松蔭。
「黒船に乗り込んでアメリカへ行くのは僕のやるべき事であって君がやるべき事じゃあない。」
「君は何者じゃ。」
「君のやるべき事は何じゃ。」
「己の心を見ろ。
そこには、もう答えがあるはずじゃ。」
その後、松蔭は密航に失敗し、捕まった事を龍馬は知る。
しかし、松蔭の言葉は龍馬の心に突き刺さっていた。
龍馬は千葉道場へ行き、定吉に頭を下げた。
「わしは、間違うちょりました。
わしは剣を道具だと考えてしもうたがです。」
「剣術をする事の目的は、己を極限まで追いつめ、
無の境地に追いつめてこそ見えてくるがです。」
「それなのに、わしは剣術を止めたがです。」
「もう一遍、この道場でわしを使うて下さい。
お願い致します。」
定吉は龍馬に問う。
「坂本くん。ひとつ聞きたい事がある。」
「剣で黒船に立ち向かえるのか?」
「黒船に立ち向かえるかどうかは、この坂本龍馬っちゅう人間の問題です。」
定吉は大きく笑った。
「長くかかったのう。坂本くん。」
【龍馬伝】第六回 – 見取り八段・実0段 – 楽天ブログ(Blog)

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