2月 132007
 


死地からの生還を果たす過程は、壮絶。
それを成し遂げる人間もまた凄かった。
山野井夫妻、ギャチュンカン北壁登攀の物語。
(登攀よりも下山時が壮絶なんだけど)


 
 
 
ヒマラヤ山中の氷壁をダイレクトに登る、
ヒマラヤ山頂付近の酸素は平地の1/3、
荒れ狂う風、すぐ横を通り抜ける雪崩・・・
描かれている世界が、想像を超える世界。
ヒマラヤの中でもあまり目立たない山であるギャチュンカン。
独りピークを極めた後の下山中に凄まじい雪崩が直撃する。
下に残した妻諸共落下。荒れ狂う猛吹雪、零下30度。
上から呼びかけても反応しない妻。
彼は「妻は死んだかな?」「死んでぶら下がっているのかな?」と思った。
だが酸素不足で、視力が失われている。・・・どうすべきか。
冷静に自分が助かるためにすべきこと、自分がまず降りるにはどうするべきか?を考えた。
「うーん、妙子(奥様)は死んでるかもなぁ。どうやったら降りれるかなぁ・・・」と冷静にって・・・もう本当の極限状態。
でもそこで冷静さを保って思考を止めなかったのがすごい。
彼は自分の使わないであろう、指を使って手で氷壁を探りながら降下を繰り返した・・・
妻は彼にロープが切られないために、メッセージの意味を込めたカラビナを送った・・・
恐怖を心の中に押し込めながら、限界の中で生還を目指した。
と、壮絶な時間が克明に記録されています。
その過程がめちゃくちゃ面白かった。
山野井曰く
「いい登山だった。ギャチュンカンに対して悪い印象はない。」
「おもしろかった。やっぱり自分達のしてきたことは間違ってなかった」
すごい。
というか、何故そこまで。と思うでしょ?やっぱり。

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